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- 7月18日
- 読了時間: 4分

罠猟の未来が変わる!ICT活用で始める、次世代のスマート罠猟
「罠を仕掛けたはいいものの、毎日見回りに行くのが大変…」「捕獲したけれど、時間が経ってしまい肉質が落ちてしまった」
罠猟を行う方なら、一度はこんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。高齢化や担い手不足が進む中、罠の見回りは大きな負担となっています。
しかし今、そんな課題を解決する「スマート罠猟」が注目を集めています。ICT(情報通信技術)を活用することで、罠猟はもっと効率的で、人道的、そして持続可能なものへと進化を遂げようとしているのです。
この記事では、罠猟にICTを取り入れることで、具体的にどのようなメリットがあるのかを分かりやすく解説していきます。
ICT活用で罠猟はどう変わる?
ICTを活用した罠猟では、主に以下のような機器が使われます。
センサー付き発信機(捕獲通知システム): 罠が作動すると、その情報を検知して猟師のスマートフォンやパソコンにメールなどで通知します。
GPS: 罠を設置した場所の位置情報を正確に記録・管理できます。
遠隔監視カメラ: 罠の周辺の様子をリアルタイムで映像で確認できます。
これらの機器は、多くの場合、専用のスマートフォンアプリと連携して使用します。では、これらの技術がもたらすメリットを具体的に見ていきましょう。
メリット1:見回りの負担を劇的に軽減!時間とコストを大幅削減
従来の罠猟で最も大きな負担となっていたのが、毎日の見回りです。特に兼業で猟を行う人にとって、時間を捻出するのは簡単なことではありません。
ICTを導入すれば、罠が作動した時にだけ通知が来るため、毎日見回りに行く必要がなくなります。これにより、以下のような効果が期待できます。
時間と労力の削減: 見回りにかけていた時間を他の作業に充てることができます。[1]
交通費の削減: 山奥に仕掛けた罠まで、毎日車を走らせる必要がなくなります。
安全性の向上: 悪天候の日や、危険な場所に無理して見回りに行くリスクを減らせます。
ある自治体の実証実験では、ICTの導入により見回り作業の負担が大幅に軽減されたという報告もあります。
メリット2:アニマルウェルフェアの向上とジビエの価値向上
捕獲した鳥獣をできるだけ苦しませないことは、動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点から非常に重要です。
ICTを使えば、捕獲をリアルタイムで知ることができるため、すぐに現場に駆けつけることが可能です。これにより、
鳥獣の苦痛の軽減: 罠にかかっている時間が短縮され、鳥獣へのストレスを最小限に抑えられます。
ジビエの品質向上: 捕獲後に暴れる時間が短くなることで、肉の損傷やうっ血を防ぎ、より高品質なジビエとして活用できます。ストレスは肉質に大きく影響するため、迅速な処理は美味しいジビエの提供に不可欠なのです。
メリット3:安全性と捕獲の確実性がアップ
ICTは、猟の安全性と確実性を高める上でも役立ちます。
罠の紛失防止: GPS機能で罠の設置場所を正確に地図上で管理できるため、紛失のリスクが減ります。
誤捕獲の防止: 遠隔カメラを使えば、罠にかかったのが対象の鳥獣か、あるいは保護すべき動物ではないかを現場に行く前に確認できます。
最適な捕獲タイミング: カメラでリアルタイムの映像を確認することで、複数の獲物が罠に入ったタイミングを狙って遠隔操作で作動させることも可能になり、捕獲効率が上がります。
メリット4:データ活用で、より戦略的な猟へ
ICT機器の多くは、捕獲日時、場所、天候といったデータを自動で記録・蓄積する機能を備えています。これらのデータを分析することで、
鳥獣の行動パターンの把握: どんな場所で、いつ頃獲物がかかりやすいのかといった傾向が見えてきます。
効果的な罠の設置: データに基づき、より捕獲率の高い場所に罠を設置できるようになります。
報告業務の効率化: 自治体への捕獲報告なども、記録されたデータを使えば簡単に行えます。
導入の際の注意点
もちろん、ICT導入には課題もあります。機器の導入には初期コストがかかり、月々の通信費(ランニングコスト)が発生するサービスもあります。また、携帯電話の電波が届かない山間部では使用が難しい場合があるほか、機器のバッテリー管理も必要です。
しかし、通信技術の進歩により、低コストで広範囲をカバーできるLPWA(省電力広域無線通信)といった技術も登場しており、これらの課題は少しずつ解決に向かっています。
まとめ
ICTの活用は、罠猟が抱える多くの課題を解決し、猟師の負担を減らすだけでなく、捕獲される動物にも配慮した、よりスマートで持続可能な活動へと進化させる大きな可能性を秘めています。
経験や勘に頼ることが多かった従来の猟に、データという新たな視点を加えることで、若手や新しい担い手も参入しやすくなるでしょう。罠猟の未来を、ICTの力で切り拓いていきませんか。


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